ジョアン・ミル:MotoGPのプロテクション技術
世界選手権のプロライダーと同じ技術とプロテクションを、誰もが使用することは可能なのでしょうか?
実は、2020年世界チャンピオンのジョアン・ミルは、レーストラック上で、頭からつま先まで誰もが使用できるギアを着用していました。
革新的なヘルメット
PISTA GP RRは、すべてのAGVライダーがレースで着用しているヘルメットです。
PISTA GP RRは、プロテクション性能、重量、空力浸透性、広い視野、ベンチレーションなど、すべての面で他の追随を許しません。AGVの研究開発部門によるこだわりの製品開発により、市販バージョンでもFIM認定に必要な厳しいテストに合格するほどの性能を持ち、レース用に改造する必要はありません。
PISTA GP RRは、誰もが手に入れることができる、FIM認定のレーシング・ヘルメットです。
2020年のMotoGP世界選手権以前に、Pista GP RRヘルメットは、すでに何度か表彰台の頂点に立っています。
まず2013年にMoto2のポル・エスパルガロ、2017年にMoto3のミルとMoto2のモルビデッリ、そして2018年にはMoto2のフランチェスコ・バニャイア。
そして、2020年。Pista GP RRは、MotoGPの世界で最速のヘルメットとなりました。
エアバッグ・プロテクション
2007年、125ccクラスのライダーであるシモーネ・グロツキーとマイケル・ランセダーは、世界選手権レースにてDaineseの電子制御式エアバッグシステムを導入した最初のスーツとプロテクションで参戦しました。
それから11年後、2018年にはエアバッグ・システムが義務化され、全クラスのライダーのレザースーツにエアバッグ・システムが組み込まれました。
DaineseのD-air®システムは、エアバッグが搭載されている事に気づかないほど完璧にウェアに組み込まれているため、実際にはレギュレーションで義務付けられる前から、すべてのDaineseのライダーはエアバッグを使用していました。
ワールド・チャンピオンが着用していたスーツは、Dainese D-air®の最新かつ最先端の進化形であるMugello RRです。
内蔵されたエアバッグ・システムは、センサーが毎秒1000回のデータを検出し、必要な時にだけ電子制御ユニットがエアバッグを作動させるインテリジェントなシステムです。
D-air®Racingのシステムは、エアバッグを構成するマイクロ・フィラメントにより、均一かつ制御された方法で肩と鎖骨部分を適切にカバーします。
また、肩、肘、膝は剛性の高い複合プロテクターで保護され、最も衝撃にさらされる部分は、スーツの外側に取り付けられたチタン製スライダーによって衝撃を受け流して滑走を促し、転倒時の危険な回転を防止します。
最も洗練されたグローブ
Full Metal 6は、MotoGPのトップライダーと共同開発された、最も洗練されたモーター・サイクル用グローブです。
操作性を最大限に引き出すために、手のひらに柔らかいゴート・スキン(ヤギ皮)を使用し、プロテクションを最大限に高めるために手の甲にカーボン・ファイバーとチタン、アスファルトに対する耐摩耗性を高めるために縫い目にアラミド・ファイバーを使用するなど、最先端の素材を使用しています。
また、手首と指の部分は、ライディング・ポジションに合わせてあらかじめカーブした立体裁断が施されています。これは疲労を軽減し、パフォーマンスを最適化するための構造で、ライダーは指や手首に負担をかけずに、ハンドルを正しく操作できます。
ブーツイン・システム
90年代後半、ダイネーゼは、スーツの内側に入れるタイプの、初めてのレーシング・ブーツを発表しました。
よりスリムで軽く、空気力学的にも優れたこのブーツは、高い衝撃保護性能を提供するだけでなく、骨折や捻挫の予防にも効果があります。
フラッグシップ・モデルであるAxial D1ブーツには、人間工学に基づいたカーボン・ファイバーのジョイント構造であるAxial Distortion Control Systemが組み込まれており、プロテクション性能を保ちながら、自然な足首の動きを確保します。
Axial Distortion Control Systemは、ブーツとスーツを連結させることによって得られる剛性により、関節にかかる予期せぬ動きを防ぎます。真の足首プロテクションとして機能するこのシステムにより、横方向のねじれや骨折のリスクを軽減します。
脛骨のプロテクションには、カーボン・ファイバーとアラミド・ファイバーが使用され、プロテクション性能を落とさずに軽量化が図られています。スリムで軽量なブーツは、身体全体の自由度を確保し、ライダーとバイクの一体感を向上させ、空力性能をも最適化します。
頭の先からつま先まで、すべてのライダーはワールド・チャンピオンと同じギアを身につけることができます。誰もがそれぞれの目標と限界がありますが、可能な限り安全なコンディションでこそ、その目標に到達し、それを超えることができるのです。
自分の可能性を最大限に引き出すには、ライディング以外の懸念材料を極力抑える必要があります。