2022.10.28

防水ウェアの選び方

防水機能が搭載されたウェアにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。多くのライダーにとって、自分に一番合った防水ウェアを見つけることは簡単なことではありません。

すべての防水ウェアには、何らかの形で防水メンブレンが組み込まれています。

防水メンブレンとは、Gore-Tex®やダイネーゼが独自に開発したD-dry®のように、何百万もの小さな穴が開いた非常に薄いフィルムです。

これらの穴は、外側から水が通過できないほど小さく、しかし、内側の湿気は通す大きさになっています。

この防水メンブレンの構造により、水を通さず、内側からは水蒸気を逃がすことで、ジャケット内をドライに保ちます。

このタイプのジャケットは、
「ラミネートメンブレン・ジャケット(以下ラミネートタイプ)」
「フローティングメンブレン・ジャケット(以下フローティングタイプ)」
「リムーバブルメンブレン・ジャケット(以下リムーバブルタイプ)」
というように、メンブレン、すなわち防水フィルムが、どのように組み込まれているかでタイプが分かれます。

防水メンブレンの仕組み

ここで、はっきりさせておかなければならないことがあります。それは、100%防水のメンブレンは存在しないということです。

メンブレンの性能は、直径2.5cmのチューブを使用した水柱を使用して測定します。チューブに水を注ぎ、その水がどれくらいの量に達すると水が浸透するか、という圧力を測るのです。

例えば、20,000mm防水という表記であれば、水の浸透を許したときの水柱の高さが20m、という意味になります。

つまり、耐水性の向上という点だけを見れば、メンブレンの穴の数を減らすことで効果が期待できます。一方で、穴の数を減らせば、当然通気性は悪くなってしまいます。

また、水滴を生地に染み込ませず、はじくという効果は、実はメンブレンの効果ではありません。

この効果は、生地に施されたDWR(Durable Water Repellent)撥水加工によるものです。

撥水加工は永久に持続するものではなく、使用していくうちに(または洗濯することにより)次第に効果が薄れていきます。

ラミネートタイプ

ラミネートタイプは、ツアラー・タイプのバイクでの長距離ツーリングに最適です。

長距離ツーリングでは、めまぐるしく変わる天候の中を走破する必要があるため、特に洗練された構造になっています。

専用の高性能Gore-Tex®/D-dry®メンブレンをジャケットに装着することができ、雨や風からライダーを守ります。

さらに、アウター生地(ジャケット本体)にも、別のもう一つのメンブレンが圧着されています。この構造の大きな強みは、ジャケットの表面は濡れても、内側までは浸水しないことです。

また、雨が止んだ数時間後、再び着用する際に、外側の生地はある程度乾いているというメリットもあります。

また、取り外し可能なメンブレンを備えたラミネートタイプは、ベンチレーションは、取り込んだ空気がメンブレン・シールドに遮断されることなく、ジャケットの生地を通過するため、次に解説する「フローティングタイプ」よりも効果があるので、より幅広い気候変動にも対応することができるのです。

この種のベンチレーションには、もちろん防水性の高い特殊なジッパーが使用されています。

フローティングタイプ

D-dry®フローティング・メンブレンを使用したウェアは、製造が容易で、より手頃な価格帯であることから非常に人気があります。

しかし、手頃な価格だからといって、必ずしも性能が劣るわけではありません。

このタイプのウェアでは、メンブレンは生地の間に挿入されていて、取り外すことができません。

フローティングタイプの利点は、他のウェアと比較して、防寒に適していることです。

外装とメンブレンの間の空気は、身体と大気の間の効果的な断熱材として機能し、気温が低くなっても暖かさを保ちます。

フローティングタイプは、メンブレンが着脱できるタイプと比較すると、乾燥に少々時間がかかるという面がありますが、もちろん雨の中では優れた防水性能を発揮し、数時間の雨の中のライディングでも水の浸透を許しません。

すべての季節に対応するジャケット、リムーバブルタイプ

取り外し可能なメンブレンを備えたウェアの大きな利点は、その多様性にあります。

メンブレンを完全に取り外すことができるため、ウェアの構成を変えることができ、気温が高い季節には、メッシュジャケットとしても使えるようなモデルもあります。

取り外し可能なGore-Tex®やD-dry®メンブレンを備えたジャケットは、このようにオールシーズン・ウェアとして利用できるのです。

メンブレンと保温インナーを装着し、ベンチレーションを全閉にした冬の装いから、メンブレンと保温インナーをすべて外し、ベンチレーションを全開にした夏の装いまで、一年中使用できる理想的なウェアとなるでしょう。

取り外し可能なメンブレンを使用したウェアは、生地にメンブレンを内蔵したフローティングタイプと多くの特徴が一致しています。

ただ、天候や気温の変化への対応の柔軟さという面では、取り外し可能なメンブレンのメリットは大きいでしょう。

限られた距離しか走行しない場合、あるいは天気の良い日にしかバイクを使用しないのであれば、フローティング・メンブレンを使用したウェアで十分でしょう。

ただ、走行する距離が長くなればなるほど、予期せぬ天候の変化に見舞われることが多くなります。

冬でも毎日バイクに乗る、1年を通して長距離ツーリングが多いという方には、取り外し可能な専用メンブレンや大きなベンチレーションを装備したツーリング・ウェアをお勧めします。

関連商品

ARCHIVE